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パソコンがなかった時代、書類仕事はすべて手書きか手打ちだった

公開日:2026-10-09

パソコンがなかった時代、書類仕事はすべて手書きか手打ちだった

キーボードを叩けば文字が並び、ワンクリックで修正できる。その当たり前の裏に、タイプライターと算盤の時代がある。

文書を作る、表を作る、メールを送る。

これらを今の感覚でやろうとすると、パソコンなしには成立しない。しかし世界のほとんどのオフィスにパソコンが入ったのは、1980〜90年代のことだ。それ以前の「書類仕事」はどんな姿だったのか。

今、当たり前にあるもの

現代のオフィスでは、一人一台のパソコンが当たり前だ。文書作成・表計算・メール・ウェブ検索・ビデオ会議、これらがひとつの機械で処理できる。誤字があればバックスペースで消せるし、体裁を整えるのも印刷するのも数クリックで済む。

メモリに文書が保存されるから、作業の途中でやめて再開することも、以前の文書を修正することも自由だ。

それがなかった時代

パソコンが普及する前のオフィス業務は、タイプライターと手書きで成り立っていた。

タイプライターはキーを叩くと活字が紙に打ち込まれる機械で、19世紀後半から欧米のオフィスで普及した。しかし日本語のタイプライターは、数千文字の漢字かなに対応する必要があり、和文タイプライターは数千個の活字が並ぶ重厚な機械になった。熟練の操作者(タイピスト)が活字台の中から素早く字を選んで打つ技術は、専門職として高く評価された。

それよりも古い時代、あるいは和文タイプが使えない場面では、すべて手書きだった。正式な書類は毛筆や万年筆で丁寧に書き、複写が必要な場合はカーボン紙や謄写版(ガリ版)が使われた。修正液(ホワイト)は1950年代に発明されたが、それ以前の手書き文書は書き直しか、墨で上書きするしかなかった。

どう変わってきたか

パーソナルコンピューターの原型は1970年代に登場した。1977年にアップル社がApple IIを発売し、1981年にIBMがIBM PCを発売。日本ではNECのPC-88シリーズなどが1980年代に普及し始めた。

しかし初期のパソコンは、電源を入れて自分でプログラムを書くものであり、一般事務への活用は限られていた。転換点はワープロソフト(日本語ワードプロセッサ)の登場だ。1978年に東芝が「JW-10」という初の日本語ワードプロセッサ専用機を発売し、文書作成の自動化が始まった。当初は1台300万円以上だったが、1990年代には数万円台に下がり、各家庭にも普及した。

1995年のWindows 95の登場が最大の転換点で、一般ユーザーが操作しやすいGUI(グラフィカル画面)環境が普及し、オフィスへのパソコン導入が急加速した。

道具が仕事を変えた

ワープロとパソコンの普及は、オフィス事務の仕事量と人員構成を変えた。

かつては「清書専門」のタイピストや、「複写作業専門」の職員が必要だった仕事が自動化されていった。一方で、文書の種類と量は増え、情報処理の速度に対するニーズも高まっていった。

道具が変われば、仕事の中身も変わる。そのサイクルが、今もパソコンとスマートフォンの間で続いている。

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